――プラスチックのブロー成形メーカー、大阪府門真市に本社を置くマルイチエクソムの社内ベンチャーとして、外国人雇用を支援する新会社「エクソムヒューマンリソース」を昨年12月に立ち上げました。
私自身、外国人雇用で30年におよぶ経験やノウハウを積み重ねてきました。そして人材不足解消や、優秀な海外人材の活用などで中小製造業を支援したいという思いで会社を立ち上げました。現在、マルイチエクソムの従業員数は45人。そのうち中国やベトナムなど7カ国から25人の外国人が在籍しています。過去5年間のデータを見ても、海外人材の増加に伴い、生産性も向上している状況で、外国人雇用を積極的に行うことで会社も成長していると考えています。
――外国人雇用は具体的にどのような経緯で?
創業時からプラスチックのブロー成形をなりわいとし、1989年の22歳の時に父から事業を継いだわけですが、母との家内工業。求人票を出ても人の採用ができない中、出稼ぎの外国人労働者を紹介してもらったのが始まりです。そして1993年に外国人技能実習制度が創設されました。その制度を活用するために97年に有限会社として法人化。それ以降は、社会保険や厚生年金、就業規則や雇用契約書などの整備に取り組んできました。また合理的な教育訓練プログラム、言葉がわからなくても理解できる作業マニュアルの整備など、外国人を雇用するために会社の仕組みと体制を作り上げてきました。
――雇用形態や管理職への登用は?
雇用形態や福利厚生などはすべて日本人と同じです。資格取得のための研修も会社負担で行っています。また優秀な人材には現場のリーダーになってもらっているほか、部門長に登用した人物もいます。ちょっと次元の違う話になるかもしれませんが、2023年6月に社長交代も行いました。30年以上社長をやってきたことが背景にありますが、新社長は中国出身の42歳。日本の大学を出て当社に入社し、20年以上にわたって一緒に仕事をしてきた信頼の置ける人物なので、経営を任せることにしました。外国人でも社長になれる!ということで社内のモチベーションは最高です。
――今後の採用方針は?
今後は新社長の判断になるので何とも言えませんが、これまで地元で毎年1、2名の高卒学生を採用してきましたが、今年はそれを見送りました。昨年留学生を対象にした就職説明会に参加したところ、約80人の学生がブースに集まってくれて驚きました。その中から厳選して最終的には4人を採用できました。地元の学生の採用をやめたわけではありませんが、採用したくても必要とする人数がいない、というのが現実です。
――最後に一言。
日本の少子化はこれからますます深刻になってきます。人手不足解消のため、製造現場では自動化やロボット化の動きもありますが、高額な設備投資ができないものづくりをするのが中小企業の存在意義でもあります。また人材育成だけでなく、働く人材の確保という観点から、政府でも現在の技能実習制度を廃止して、新制度への移行などが検討されています。中小製造業の現場においては外国人雇用や高度外国人材をうまく活用できるかどうかが、事業の成長を左右する時代になってくると思います。
【取材・文/写真、饒波(のなみ)正紀】