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独立行政法人
中小企業
基盤整備機構

(独)中小機構 近畿本部の米倉氏に、中小企業の魅力や働くメリット、
優良中小企業の特徴や見つけ方をインタビューしました!

(独)中小機構とはどのような機関ですか?

(独)中小機構は「日本で唯一の、総合的な中小企業政策実施機関」と言われています。国の機関として、創業から事業承継まで、全国約358万社ともいわれる中小企業を支援しています。例えば、元経営者や士業資格者といった専門家を派遣して中小企業の課題解決を支援したり、中小企業向けの研修を行ったりしています。さらには、販路開拓のための展示会の開催、経営者のための退職金共済の運営、ベンチャー企業が資金調達をするための支援などもしています。このように、中小機構の業務は幅広いですが、だからこそ様々な角度から中小企業に関わる機会があります。

米倉さんの業務について教えてください。

 私は現在「ハンズオン支援」と呼ばれる仕事に携わっています。これは先ほど紹介した「専門家派遣」の一種です。「専門家派遣」というと、専門家が社長の相談に乗って課題解決を主導していくようなイメージがあるかもしれません。しかし、実際には経営者だけでなく、社員も一緒になって「新商品開発」「生産現場の改善」「ITシステムの導入」などに取り組みます。もちろん専門家はアドバイスするのですが、中小企業自身の活動こそが主役です。そのような業務に携わっているので、中小企業の取り組みの様子に触れたり、社長や社員の方々と話したりする機会も多くあります。今回はそうした経験を踏まえて、「中小企業で働く魅力」や「魅力的な中小企業の見つけ方」を紹介したいと思います。

知っておくべき中小企業の特徴を教えて下さい。

 そもそも一口に「中小企業」と言っても、非常に幅広い企業が含まれます。例えば、製造業では、「資本金3億円以下」か「従業員数300人以下」のどちらかに当てはまれば「中小企業」に該当します(定義上、中小企業であるかどうかと、売上や利益の大きさは関係がありません)。例えば、ほぼ家族のみで経営されているような小さな工場や『下町ロケット』でイメージされるような町工場もあれば、世界トップのシェアを誇る中小企業もあります。
このように、中小企業に共通するイメージを紹介することは難しいのですが、中小企業は社長の存在感が非常に大きい傾向があります。これは、資金や人財が潤沢で役割がはっきり分かれた組織で仕事をしている大企業と異なり、中小企業の社長は開発・製造・営業・人事・財務など幅広い業務に権限と責任をもっているためです。そして、社長が多方面でリーダーシップを発揮しなければならないことこそ、中小企業の特徴だと思います。

ズバリ! 中小企業で働く魅力とは何ですか?

 人財が不足しがちな中で社長が多方面でリーダーシップを発揮せざるを得ないということは、逆に社員にも若手のうちから将来会社に必要なことを率先して学習・実践することにより、リーダーシップを発揮できるチャンスがあるということでもあります。さらに、中小企業では社長との距離が近いため、社長に直接自分のアイディア・工夫を提案したり、実践したりできることも多いでしょう。自分の仕事に制約を設けずにチャレンジを迫られることはプレッシャーがかかり、失敗もあることですが、必ず自分の成長・やりがいにつながることと思います。

メインの質問! 魅力的な中小企業の特徴と見つけ方とは!?

 もちろん「中小企業で働く魅力」として紹介した内容は、残念ながら全ての中小企業に当てはまるわけではありません。では、どうやって魅力的な中小企業を見つけることができるのでしょうか。実は、魅力的な中小企業の特徴は、「ハンズオン支援」で成果が出やすい企業と同じだと考えています。それは、「社長が社員に仕事を任せて育てようとしていること」です。
ハンズオン支援では社員も一緒に活動に取り組みます。支援が上手くいく場合は、回数を重ねるごとに課題の解決に向けて社員の主体性が発揮されていきます。見方を変えると、社長は次世代のリーダーを育てようと、取り組みの重要性は伝えつつも、あえて指示や介入をせず社員が前向きに活動できる雰囲気づくりに努めています。反対に、組織の人間関係や雰囲気が悪い場合や社員の不安が大きい場合、挑戦的なアイディアや積極的な参加はあまり見られません。その背景には、社長が社員の取り組みを認めておらず、ネガティブな反応を示してしまっていることが往々にしてあります。
魅力的な中小企業を見つけるには、ぜひ社長の社員に対する考えや社員の方々の様子に着目してみてください。可能であれば、何人かの社員の方々のお話も聴いてみてください。もちろん決めつけや失礼な質問はNGですが、将来を考えてその会社のことを知ろうとする質問には、きっと真剣に答えてくれます。社長は自社の社員(=将来の新入社員であるあなた自身)をどのように評価していますか?
社員の方々は社長をどのように見ていますか? 社員の方々は仕事のことを積極的に話しますか、それとも否定的ですか? 会社に不満があるときに建設的に解決しようとしていますか、それとも口々に不満を言ってばかりですか?

最後に、就職活動される方に向けたメッセージを下さい。

 就職したい中小企業を調べる際、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」や「地域未来牽引企業」などの表彰企業を調べる方法もオススメですが、今回は自分自身で企業を知ることに重点を置きました。ぜひ食わず嫌いをせず、様々な企業の様子を見て、社長の話を聴いてみてください。
同時に、自分の興味や適性を知ることも大切だと思います。いろいろな社長、社員の方々の話を聴く中で、自分が共感できることや仕事で大切にしたいことが見えてくると思います。適性を知るために、インターンシップを活用して実際にやってみることもいいと思います。
新型コロナウィルスで思うようにいかないところもあると思いますが、めげずに自分に今できることを探してください。皆様の力を遺憾なく発揮できる企業に巡り合えることをお祈りしています。

2020年5月時点

機関のプロフィール

機関名
独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:(独)中小機構)
所在地
本部(東京都港区虎ノ門3-5-1 虎ノ門37森ビル)
ほか、全国に地域本部・中小企業大学校・インキュベーション施設あり
電話番号
03-3433-8811(本部代表)
休館日
土日祝日
URL
https://www.smrj.go.jp/
米倉 聡明 氏▶︎ 寄稿者
(独)中小機構 近畿本部 企業支援部 企業支援課
米倉 聡明(Yonekura Somei)